第66章 真実*茶倉
「……………ああ。」
複雑そうな笑みを浮かべた千秋はゆっくりと頷いた。
「『天空華』の作者、篠塚亮…もとい白井亮は俺の父だ。」
やっぱり…と私も苦笑いしか出来なかった。
「ちょっと待てって!わからないんだけど!」
「…?篠塚は母の旧姓だが?」
「そういうことじゃな「二つなのだよ。」
和くんの声を遮って真くんが冷静に意見を述べる。
「一つはなぜ今それを聞いたのか。
もう一つはそのことが茶倉の過去と関係があるのか。」
「それは…「ちゃんと話すよ。」
千秋の声を遮る。
私が言うべきことだから。
千秋を真っ直ぐ見つめると、わかったというように頷いてくれる。
それに後押しされ、ゆっくりと言葉にしていった。
「もともと亮さんはお父さんの友達の作家さん…でも私にとっては人生を変えてくれた人。今の私があるのは亮さんがいたから。」
「思い出したの、桜花のお陰で、記憶が。」
「その記憶の中に、亮さんがいたんだ。」
自分の中で言葉が纏まらなくて、もどかしい。
それでも一つ一つ言葉にしよう。
「亮さんは教えてくれた。それまで私にはなかった考えを…そのことは今でも私の支え。」
「話の中で亮さんが教えてくれたんだ。私と『同い年の子供がいる』って。
それに、千秋と初めて会うはずなのに懐かしく感じたり、千秋も私を知っていると言っていた。これってつまり…」
(千秋のお父さんは亮さんってこと…)
私の予想は、先刻の千秋の返事で事実になった。
「今それを聞いたのはそれが重要なことだから。過去においても、未来においても…」
再び目をつぶる。
あの日々の記憶は、確かに私の中にある。