• テキストサイズ

黒バス triangleー青春はあっというまっ!

第65章 記憶と思い出*緑間



「優ちゃんの記憶が無くても、オレたちと一緒にいたって事実は変わらないもんな。」

高尾が吹っ切れたように笑う。

その顔を見て気がついた。

先ほど自分の中に重くのしかかっていた黒い不安は、いつの間にか和らいでいたことを。

「ああ。」

「色々やらかしたこともあるけど…それでも優ちゃんがオレたちといることを望んでくれた。」

「そうだな。」

「だったらオレたちは優ちゃんにその気持ちを…思い出すのは無理かもしんねぇけど、持ってもらうことはきっとできるよな?」

「その気持ちを思い出せれば、記憶も戻る可能性があるかもしれないのだよ。」


記憶喪失なんて想像もつかない。

大切なものの記憶が無くなるとはどんな恐怖なのだろうか。



だから。

その恐怖を和らげ、元の記憶の鱗片を思い出してもらい、これからを助けることが俺たちに必要なことだろう。











儚い記憶は、一生忘れない思い出になる。



この日々も忘れられない思い出になるのだろうか?

この記憶を俺は何度も思い出すのだろうか?




そして。




茶倉にとって俺たちとの日々は思い出になるのだろうか?








ーーーーーーーー

「三波。」

放課後、三波に会った俺は声をかけた。

「今日の放送、良かったのだよ。」


彼女は一瞬驚いた後、笑顔を浮かべた。

「聞いててくれたんだ。そう言ってもらえるなんて思ってなかったから…ありがと。」

三波の柔らかな微笑みは、茶倉のそれとなんとなく似ている気がした。

/ 505ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp