第64章 知らされる過去*茶倉
ここ数日、何度となくそんなことを考えている。
このままではいけないと思っても、体が重くて動かせない。
それに打開する案がない。
思考はどんどんマイナスへと堕ちていく。
そんな自分が嫌で、ギュッと布団に顔を埋めた。
ートン トン
突然叩かれたドアにビクリとしてしまう。
(だ、誰…?!)
驚いて顔を上げると、そこには見知らぬ…いや、実際には顔は見たことあるのだが、ほとんど初対面といっていい人がいた。
「悪いな…春音さんに許可は貰った。」
真っ直ぐとした視線に、目をそらせなくなる。
(お母さんが許可するってことは…なにかあるんだろうな。)
一歩、一歩とゆっくり歩を進めるのに合わせて、鼓動が強く音を立てる。
(前も思ったけど…私、この人を知ってる…?)