第64章 知らされる過去*茶倉
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数日が過ぎた。
あの日以来、私はまともにコミュニケーションをとっていない。
体に特に異常があるわけでもないから、看護士さんとかも食事を運びに来るだけ。
お母さんはいつも以上に気を使ってくれているようだった。
お父さんも仕事が忙しいのに来てくれる。
それでも明るく振る舞う余裕はなかった。
そんな私に、「親なんだからいくらでも迷惑かけろ」って言ってくれたのは、本当に感謝している。
和くんと真くんが来ないのは、私が起きたことを知らないか、誰か(おそらくお母さん)が止めているからだろう。
周りの気遣いを感じても、私はただ、毎日を呆然と過ごすだけ。
カーテンは開いているのに、好きだったはずの空までもが目に入らなかった。
私はどれだけ人に迷惑をかければいいのだろうか?
『人を助けられる人に。』
あのときの言葉が、声が、
怖いくらい何度も再生される。
(いや、なのに…)
逃げたい。
でも逃れることなんて出来ない。
だってそれが事実だから。