第64章 知らされる過去*茶倉
「え?」
「1人にさせてっ!」
(こんなに強く言わなくても…)
桜花はいなくなってしまったのに、私の中には二つの人格があるのではないか?と思えた。
「どうしたの、優?」
お母さんの戸惑いが伝わってくる。
「私、思い出したの!過去のこと…もう、あの人はいないんでしょ!私のせいで…!」
熱いものが頬を伝う。
涙を熱く感じるほど、私の体は冷え切っていた。
「違う、優のせいじゃ「じゃあ連れてきてよっ!」
「それは…」
困らせているだけだということはわかっている。
でも抑えられなかった。
今、気持ちを抑えるなんて私には出来なかった。
(まだまだ子供なんだ…)
自虐的な笑みが口元に浮かぶ。
「お願い。1人にさせてください…」
私の言葉に、お母さんは何かを考えるようにして目を閉じる。
そして、目を開く。
(っ…!)
寂しそうな微笑みだった。
その笑みを残して、お母さんは黙って部屋を出ていった。
(ごめんなさい…!)
涙は当分止まらなかった。