第64章 知らされる過去*茶倉
目を覚ます。
一番に目に入ったのは、驚きと嬉しさの混ざった顔をするお母さんだった。
「お母さん…」
「!」
一瞬目を開いて、その後笑みが広がる。
(私が起きて嬉しいんだな…)
私はどこか他人事のようにその顔を見ていた。
頭の中は他のことで一杯だから。
それに。
私は取り返しのつかないことをしてしまったから。
「良かった。記憶はちゃんとあるのね…。ほんと、良かった…!」
お母さんの目から涙が流れる。
私のために泣かないでよ。
涙なんて流してもらえる人間じゃないのに。
思考はグチャグチャに絡まってまともに働かなかった。
「…1人にさせて。」