第61章 運命の日*茶倉
(いったい何を…?)
失われている記憶に困惑する。
意識が遠のいていく……
(まだ駄目…!)
なんとかして意識を保つ。
「大丈夫ですかっ?」
医者の声が聞こえて、なんとか頷く。
「昔、こんな風に倒れたことは?」
「…事故、で……その後、から……気を失いやすい…」
たどたどしく言葉を並べる。
呼吸もおぼつかない。
「事故…?」
驚いたのは医者ではなく、後ろにいた先ほどの人だった。
「ありがとう。ゆっくり目を閉じて…そう、そのまま……」
穏やかな声を聞いていたら、そのまま眠ることが出来た。
完全に眠りにつく前。
2人の会話が耳に入った。
「貴方、この子のこと知ってるの?」
「いえ、初めて会います。………そんな偶然、無いだろうし。」
「そう……保護者の方を呼ばなきゃね。」