第61章 運命の日*茶倉
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(これは戻ってきた記憶?)
私が寝ている間の桜花の記憶。
あの事故で、私が入院しているときのものだろう。
『そんな…まさかっ!』
お母さんの驚きと悲しみが混じった声。
『…本当だ。』
今度はお父さん。
忙しいのにお見舞い、来てくれてたんだ。
『これは、優には言えないわね…』
『ああ。』
(何の話?)
隠し事、かな?
『まさか、亡くなったなんて…』
(!?)
……話が繋がってきた。
私が事故現場で見た花瓶と花。
思い出してはならない記憶。
そして、
亡くなった誰か。
(あの人は…死んでしまったというの…?)
私の命の恩人。
私に生き甲斐となる言葉を伝えてくれた人。
夢の中のはずなのに血の気が引く。
(私のせいで…あの人は……!)
ただただ絶望しか無かった。