第61章 運命の日*茶倉
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(ここ、だよね。)
四年前。事故現場。
あの日以来、この道路を通ることは無い。
ふと、側にあった花瓶が目に入る。
四年前には無かったはずのもの。
そこには最近活けられたであろう花が凛と上を向いていた。
(まさか……っ!)
嫌な汗が流れる。
(これって……!っ!)
心臓が直に掴まれたように痛む。
その痛みに思わず、胸を押さえた。
(くる、しいっ………!)
頭がガンガンと揺れる。
呼吸が上手く出来ない。
視界がぐらりと傾く。
そして、重力に抗えず…
バタンっ
辺りに音が響く。
自分が倒れた音と気がつくのに時間がかかった。
周囲に人が集まってくる気配がする。
「お前!どうしたんだ?!…今、救急車呼ぶ…!」
なんだかどこか懐かしいような声に、私は意識を手放した。