第58章 風邪。*茶倉
…偶然は重なるものらしい。
和くんが今日ここに来たのも偶然。
ペンを落としていったのも。
その後、同じ日に真くんが来たのも偶然だし、
私より先に真くんがペンに気づいたのだってそうだ。
……こんな状況になっているのも偶然といえばそうだろう。
まぁ、たまたまで片づけられるようなことではないんだけど。
「高尾も来たのか…?」
その静かな問いに私は頷くしか出来なかった。
「っ…!」
真くんが私の体を押す。
されるがままに私の体はソファに倒れた。
真くんを見上げるような状況に、体が熱くなる。
そのまま顔が近づけられ……
私たちの隙間はほんの数センチ。