第56章 コワレユクヒビ*茶倉
「………何しているのだよ。」
静かな、冷たい声が辺りに響く。
その声で私はその場に崩れ落ちた。
身体が…動かない。
力が入らないんだ。
「真ちゃん…っ!」
確認するようにそう呟いた和くんは、驚いたような…後悔するような………辛い顔をしていた。
「もう一度聞く。何しているのだよ、高尾。」
真くんの声はどこまでも冷たい。
「……っ!ごめん……!」
耳に届くか届かないかというくらいの小さな声で言うと、和くんは真くんの横を走り去っていった。
「大丈夫か。」
言葉とともに手を差し出される。
「う、うん……」
その手を取って、立ち上がろうとした。