第56章 コワレユクヒビ*茶倉
あれは部活の後だった。
「お、優ちゃん。片付け手伝うぜ?」
「じゃあお願いしようかな?」
和くんと2人で荷物を持って、倉庫に向かう。
「大丈夫?迷惑じゃない?」
「いや、オレが手伝いたかっただけだから。」
それから少したわいのない話をしてから、荷物を置いて戻るときだった。
「本当にありがとう、和くん。」
「どういたしましてっ☆」
私はふぅと息を吐いた後、ポツリと呟いた。
「和くんのこと、もっと知りたいな…」
他意は無かった。
もっと知って、自分の気持ちを確かなものに出来ればいいなぁくらいだった。
「…………」
(……?)
急に黙ったのが不思議で和くんを見た。
(………?!)