第54章 心は闇に溶けて…*茶倉
「か、和くん?」
「わからなかったか?……じゃあもう一度言う。」
和くんの視線が…
伝わる熱が……
私を捕らえる。
逃れられない。
「オレは優ちゃんのことが好きだ。」
「…っ!」
真剣な瞳に私は何も言えなくなった。
「…返事はまだいいから。……ちゃんと優ちゃんが結論を出したら教えてくれよ。………じゃまた明日な!」
言い終わると和くんは体を離し、行ってしまった。
浜辺には私だけ。
「……なんで…っ!」
みんなは私に思いを伝えてくれた。
真剣な思いを。
私にはわからない。
私自身の気持ちが。
言葉に出来ない私の思いは涙に変わり、
砂浜をぬらした。
夜の海は私の心を映すかのように、
闇が広がっていた。