第54章 心は闇に溶けて…*茶倉
しばらく動けなかった。
いや、動きたくなかった。
(このまま、1人の方がいいんじゃないかな…)
私はどうすればいいかわからない。
もし誰かの気持ちを受け入れれば、誰かが傷つく。
甘い考えだって言うのはわかるけれども、それは嫌だった。
………いや、違うのかも。
誰かを傷つけることよりも、今までの日常を失って自分が傷つくのが嫌なんだ。
(なんて酷いんだろう………)
こんな酷い奴を好きって言う理由がわからない。
みんな、素敵な人なのに……
他に良い人がいるのに…………っ!
和くんは「また明日」と言った。
でも私には明日が見えない。
少なくとも今までと同じ明日は。
日常が壊れていく音が聞こえる。