第49章 湯煙の向こうの真実*橘
「元とかでもいいから、なんかないの?優?」
「え、私ですか?」
「もちろん!」
「んん?…………残念ながら、私、まだ人を好きになったことが無いんです。」
「「え?」」
予想外の答えに戸惑う。
「え、てことは優ちゃんは初恋もまだなの?」
「はい。……友達として好きっていうのはわかるんですけど、異性としての好きっていうのはわかりませんね……………教えてください。先輩方!」
キラキラとした視線がこちらに向けられる。
「そうね…やっぱりドキドキ出来る相手じゃないの?」
「あー、リコちゃん。男に脱げって簡単に言えちゃうタイプの子だよね~!それ、優には参考にならない。」
数値化出来るから仕方がないのかもしれないけど…普通の女子ならそんなこと言えるはずがない。
ましてや優がそんなこと言うとは考えられないし。
「じゃあ紅子さんはどうなんですか?!」
「一緒にいられて安心出来る人、かな。……まあ相手に求めるものなんて人によって違うんじゃない?」
だから、恋って難しいと思う。