第49章 湯煙の向こうの真実*橘
湯船に浸かった後、私は聞いてみることにした。
「2人には好きな人いるの?」
面白いリアクションしてくれると思って、ワクワクしていたのに……
「「いませんよ?」」
返ってきた答えは単純なものだった。
「え……いないの?」
「「はい。」」
なにそれ!?つまんない!
「紅子先輩はいるんですか?」
えっ?!あたし??
「いないわよ、そんなの!」
……この状況で本当のことは言えない。
「えー?紅子さん、彼氏とかいるんでしょ?」
リコちゃんがニヤニヤしながら聞いてきた。
「…生憎そんな人いません。」
キッと睨んでやる。