第49章 湯煙の向こうの真実*橘
「まあ、言葉にしないと伝えられないとは思うわ。」
リコちゃんの発言がチクリと刺さる。
…それが出来たら楽なのに。
それから色々話してたけど、私の胸の傷は癒えなかった。
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「あら、優?どこか行くの?」
お風呂から上がり、優は外に出ようとしていた。
「はい。昨日、テツくんに呼ばれたので。」
(ああ、それが気になって黒子くんの方を見ていたのね。)
私は1人で納得した。
また恋愛沙汰で問題が起きたらと思い、優から男を遠ざけようとしてきた。
でも恋は止められない。
それに優だったら大丈夫だろう。
この子は強くなっている。
私にもわかるくらいに……!
「紅子先輩…?」
「あ……………行ってらっしゃい。」
「はい。行ってきます!」
私は優を、これからのバスケ部を信じて送り出した。