第35章 キスの魔法*高尾
「そうなの?知らなかった…!」
あれ?オレの冗談、本気にしてる…!?
そんなとこも可愛いけどっ!
顔を伏せしばらく何かを考える優ちゃん。
そして何か思い立ったように顔を上げた。
「和くん、ちょっと…」
「ん?」
この至近距離で手招きされたので、屈んで顔を近づけてみる。
(…!)
頬に柔らかい何かが触れて、離れる。
「勝ってね…!」
触れた暖かさと同じくらいの優しい笑顔。
いろんなことが重なって、オレの心臓はドクンと大きな音を立てるのを感じた。
今なら何でも出来てしまうような気がする。
…キスの魔法だな。