第35章 キスの魔法*高尾
「なあ、本当になんにもなかったんだよな?」
「うん。なにもなかったけど…?」
心配しすぎなのはわかるけど、優ちゃんのことを思うと…って、オレらしくねぇな。
「もしかして…怒ってる?…私が誠凛の方々のところにいて…!」
不安そうに優ちゃんが尋ねてくる。
黙ってるからそう感じたのか…?
「別に…怒ってねぇけど?」
「でも!迷惑かけちゃったし、なにかお詫びさせてっ!」
(!)
瞳をうるうるさせて、上目遣い。
相変わらずの天然っぷり。
だけどオレの理性は揺らぐ。
男って単純なんだぜ?
そんなこと言っていいのか?
…オレのしたいようにしちまうぞ?
「じゃ、目閉じて…」
そう言うとほんとに目を閉じる優ちゃん。
素直すぎだ…!