第29章 明かされる過去~前編~*茶倉
そのまま猫を追い続ける。
(ふふっ。これってあのお話みたい。)
ー不思議な国のアリス。
あの物語が頭に浮かぶ。
私はアリスのような気分だった。
(このまま、どこか違う世界に行っちゃうのかな?…なんてね。)
実際そのようになっていた。
いつもは通らない細い道路。
知らない建物。
太陽の日を受けてきらきらと輝く水面。
どれも新鮮だった。
でも不測の事態は突然起こる。
「あっ!猫ちゃんっ!!」
猫が道路に飛び出してしまった。
車がどんどん迫っている。
私も思わず飛び出した。