第28章 涙の彼女は散りゆく桜のように…*高尾
階段を上り、ドアを開ける。
そこには彼女の後ろ姿が見えた。
「和くん…」
「お、足音でわかるの?」
「うん…それが私の力だもん。」
映像記憶のことを言っているのだろう。
その声は暗かった。
「なにがあったんだ?」
「ねぇ…私って誰かの力になれてるのかな?」
「は?いきなりどうしたんだよ?」
普段とは違う弱々しい声に戸惑った。
何があったんだ?
「私は皆みたいにすごくないんだもん…」
「何でだよ?どうしたんだよ、優ちゃん?」
オレは一歩、歩を進めた。
「来ないでっ!」