第28章 涙の彼女は散りゆく桜のように…*高尾
突然の叫びに足が止まる。
「私なんて…自分自身のことも知らないのに……誰かの力になりたいなんて…バカだよね…!」
優ちゃんが振り返る。
その頬には涙が伝っていた。
涙が夕日に照らされてきらきらと輝いている。
「ごめんね、和くん…迷惑だよね…」
きゅっと無理矢理笑顔を作る。
その笑顔は儚げで
…美しかった。
それはまるで…
散る宿命を知る桜のように。
「そんなことねえっ!」
オレは駆け寄って、
強く強く抱きしめた。
その笑顔が消えてほしくなかったから。