第7章 伝えたいキモチ〔千〕
「……あの、百さん?私たちそういう関係じゃないですよ?」
正しい答えただと思った。
正しいと自分が一番分かっているはずなのに。
その答えが辛くて仕方がなかった。
(心が痛いよ……)
弥澪が何かを話していたけれど、結局まともに返事をすることもなく、その日は電話を切ってしまった。
「モモ……余計なことを言わないでよ……絶対引かれたって……」
「どうして?オレ、弥澪の気持ちを代弁してきっかけをつくってあげただけだよ?」
「……代弁……?」
「もしかして知らない?オレ結構弥澪に相談されてるよ?」
モモはきょとんとしてしまった僕に色々と教えてくれた。
僕が彼女のことをただの友人としてみているのは当たり前のことなのか、と迷っているということ。
今日の僕はどんな感じだったのかと時々聞かれること。
僕とどんな話をすれば喜んでくれるのか知りたがっていること。
モモからすれば、弥澪が僕に近づこうとしていることが伺えるらしい。
「だからオレ思ったんだ。弥澪はユキのことが好きなんじゃないかなーって」
少しでもそうであれば良いと思った。
けれどそんなこと、ありえるわけがない。
いつだって平常心で、いつだって他人行儀。
そんな弥澪が僕なんかを好きになんてなるのだろうか。
僕なんて、だなんて言うと自信がないように感じるけれど、アイドルを相手に恋愛をするなんて、弥澪にとっては夢のまた夢だろうに。