第1章 ★とりっくおあとりーと〔一織〕
「ほら、足を開いてください。あなたもこのまま終わるのは嫌でしょう」
このまま終わるのは嫌?
いやいや、むしろ終わりにしてほしいぐらいなんですけど。
「あなたが嫌でも体は快楽を欲しているようですがね。そんな状態で終わらせて、後で辛いのはあなたの方ですよ」
「意味分かんないっ……」
「分からないなら分かるようにしてあげますと、言いましたよ。だから足を開いてもらわないと困るんです」
「うぅ……」
意味が分からないわけじゃない。ただ本当のことを言うのが嫌で、つい分からないふりをしてしまうだけだ。
けれど言い返す言葉が見つからず、仕方なしに足を左右に開いた。
そうすると彼は私の足を更に大きく開かせた。
一織くん待って、それ、股が割れるから。
いや割れるなんてありえないけど地味にキツイし。
何よりそんな体勢だと色々と丸見えだ。
ブラと同じ柄のピンクの下着が一織くんにお披露目状態。
ほんっとに恥ずかしいんですけど!!
なのに何で一織くんはそんなに冷静なわけ?
普通男の子なら欲とか色々出ると思うんだけど。
やけに落ち着き払った様子の一織くん。
その手が下着の上から割れ目あたりを軽くなぞった。
「あッ……」
「すでに濡れていますね。あなたが気持ちいいと思っている証拠です。あぁ、あなたではなく、あなたの身体が、ですね」
「ひあぁっ……」
「そんなにいい声出して、それが気持ちいいということですよ。分かりましたか?」
分かる。十分に分かる。
一織くんの手が触れるたび、身体に快感がおとずれるその気持ちよさは、触れられている私が一番よく分かっている。
でもそんなこと言えない。言えば恥ずかしさから茹で上がってしまうだろう。
口では言えないので代わりに頷くと、不意打ちでキスをくらった。
そしてそのまま一織くんの手は下着をずらして直で敏感な部分に触れてくる。
「やっ……そこ、だめ……」
「だめじゃないでしょう。気持ちいいなら素直にそう言いなさい」
「い、やっ……」
「随分と強情ですね」
意地でも言ってやるものかと心に決めた時。
「あぁっ……!」
敏感なそこをつままれたお陰で、身体に流れるとてつもない快感。