第1章 ★とりっくおあとりーと〔一織〕
「や、め……」
「止めませんよ」
そう言うと一織くんは服の裾を持ち上げ、あっという間に上半身を脱がしてしまう。
思わず両手で隠すようにすると、その腕を掴まれて壁に押し当てられた。
「手をこのまま壁につけていてください。それかシーツを掴んでいるか。どちらかにしてください。でも前には出さないでくださいね。隠されては困りますから」
一織くんの手が離れると私の腕は力なく下に垂れた。
それを一瞥した一織くんは首筋に顔を埋め、キスを落とし始めた。それは鎖骨を通って胸の方へと下りてくる。
ぐいっと背を引かれたかと思うと、彼の手がブラのホックを外した。
「やっ……」
「動かないでください。縛られたいですか?拘束プレイなど私はご免ですが、あなたがそれでいいなら構いませんよ」
こ、拘束プレイ!?
いやいやいやいやいや、ありえないから。うん、本当にありえないから。
拒否の意思表示で首を横に振ると、彼は少しだけ口角を上げた。
「よろしい。あなたは私に身を任せていればそれでいいんですよ」
「ひぁっ……」
一織くんの舌が胸の先端を舐め上げ、思わず声を出してしまう。
咄嗟に口元を隠せば、今度は軽く噛みつかれてしまう。
「私は言ったはずです。手は壁につけているかシーツを掴むか、と」
「だって……声、が……」
「そんなもの隠す必要ありません。存分に聞かせてください」
「っ……んぅ……」
聞かせてと言われても恥ずかしくて聞かせられるものじゃない。
そう思って唇を噛み締めて必死に耐えようとするけれど、耐えきれずに僅かながら声が漏れてしまう。
それに構うことなく一織くんは片方を舐め、もう片方を指で転がす。
「こんなに固くして……気持ちいいんですか?」
「わか、んな……」
「では分かるようにしてあげます。足を開いてください」
「い、嫌……」
「何度言わせれば気がすむんですか。手を前に持ってこないでください」
少しだけ体を下げた一織くんから体を隠すようにすると、案の定そう叱られた。
でもでも、ほんっっっっとに無理だから。
変な声が出るし、体の奥が疼くし、なんか凄く変な感じ。