第5章 夫婦漫才とハロウィン〔百〕
「オレもユキが大好きだよ!」
「私も大好き!でもモモの方がもっと好き!」
「オレも!今日も弥澪が来てくれてモモちゃん超ハッピーだよ!」
「はいはい、相変わらずお熱いことで」
いつものようにツッコミを入れながら弥澪の作って来てくれたマカロンに手を伸ばす。
「ああっ、ユキが冷たい……少し前まではあんなに私の手料理を喜んでくれたのに……お袋の味だって褒めてくれたのに……これが本当の親離れってやつなの……?」
「ユキ!母さんを泣かせるんじゃない!こんなにユキのことを気にかけてくれているのに失礼だろ!?」
「そのコントもういいから。いつまで夫婦漫才するの?」
「えー、じゃあ……ユキ久しぶりだな!単身赴任でオーストラリアに行っていたパパが帰って来たぞ!」
「ほらユキちゃん!パパが帰って来たわよ?」
「なにそのお父さん懐かしい的な設定。しかもなんでモモが母親で弥澪が父親なの?それに逆になっただけで夫婦漫才続いてるし」
「いや、なんとなく?」
「君たちって相変わらずだね」
これもまたいつものことだ。
モモと弥澪がボケて僕がツッこむ。
二人はそれが楽しいみたいで、一日に必ず二回以上はコントを繰り広げる。
そして妙に弥澪の演技が上手くて、思わず笑いそうになってしまう。
「モモさん、ユキさん、そろそろ時間なのでスタジオの方へお願いします」
「分かりました。ほらモモ、行くよ」
「了解!じゃあまた後でね!」
「二人とも頑張って!ファイトー」
「いっぱーつ!!」
「ほら、行くよ」