第5章 夫婦漫才とハロウィン〔百〕
「モモー!」
「弥澪ー!」
目の前で盛大なハグをするモモと弥澪。
ちなみにここは僕らRe:valeの控え室。
僕とモモと弥澪以外に誰もいないけど、二人のこれは日常茶飯事だから、誰に見られても別に問題はない。
とはいえ、こうも毎日目の前でこんなことをされると僕も少しモモに嫉妬する。
別に弥澪が好きとか、ましてや恋愛対象としてモモが好きとかそういうんじゃない。
ただ、こうして二人を見ていると、恋人っていいなって思う時があるからだ。
だからモモが初めて弥澪を連れてきたときは驚いた。
しかも突然『オレの彼女、弥澪!どう?可愛いでしょ!』とか言って一日中彼女を連れ回すから、マネージャーも僕も相当呆れた。
まぁ、彼女の作ってきてくれたマフィンが美味しくてそんなこと最後には吹っ飛んでいたんだけど。
弥澪はよくモモのために色々作ってきては僕らの仕事場にやってくる。
基本的にはモモが気に入っているというお菓子を作ってくるんだけど、忘れ物を届けにきたり差し入れを持ってきてくれたりと結構律儀なところもある。
とはいえ。
「そこのバカップル、少し落ち着いたらどう?」
あんまり目の前でベタベタされては困る。
なんというか、見ているこっちが恥ずかしいんだ。
「もー、またユキの嫉妬?」
「ユキはモモのこと大好きだもんね」
ハッピー大好きモモが二人になった感じ。
元々弥澪はモモに似てテンションが高い。
これが幼馴染の力なのかというほどモモと弥澪の息はピッタリだ。