第4章 Happy Birthday 11/11〔百〕
「大丈夫だよ……」
自然と私の口からはそんな言葉が出ていた。
「きっと大丈夫。百くんなら乗り越えられるまはずだよ」
そんな私の表情は決して良いものではなかった。
百くんの言葉がなんだか苦しくて、つい顔が歪んでしまう。
千くんも笑顔を見せることは出来なかった。
必死に不安を押し隠そうとすればするほど、その感情が表に出て来てしまう。
だから私は千くんと百くんの手をそれぞれ取っていた。
「百くん、私は二人が最高のアイドルだって思ってる。だからいつかなんて考えないで。今を精一杯生きればそれで十分だよ」
百くんの握る手に力がこもった。
それに続いて千くんも力を強める。
それをしっかりと握り直して私は言った。
「Re:valeは不滅。だから最高のアイドルでいられるように、私がしてみせるから」
百くんが珍しく泣きそうな顔を見せた。
それを見るとつい慰めてあげたくなってしまい、思わず彼を抱きしめてしまった。
するとその上から二人まとめて千くんが抱きしめて来た。
「弥澪、ユキ、苦しい……」
「……モモ、僕は最高のパートナーに出会えたと思ってる。だから今は今だけを見ていてほしい」
「「ぐえっ」」
思った以上に千くんに力がこもり、私と百くんから変な声が出てしまった。
感動的なはずだった場面でのこの状況に千くんが顔をしかめてしまう。
「君たちね……」
「だって千くんの力が強いんだもの」
「オレなんか二人に抱きしめられてて結構苦しいんだもん」
「だからって、僕がせっかく恥ずかしいのを我慢して話してるんだから、少しは我慢してくれよ」