第4章 Happy Birthday 11/11〔百〕
あっという間に時間は過ぎていき、あとは三人でと気を使われてIDOLISH7とTRIGGERは帰っていった。
残された私たちは改めて乾杯をする。
「今日は超ハッピーな日だったよ!ありがとう!」
「喜んでもらえて良かった」
「それにしても三月くんは相変わらずナギくんへのツッコミが激しかったよね」
「オレ笑い袋破裂するかと思ったよ!」
「案の定大和くんもモモ並みに爆笑していたね」
「私も思わず吹き出しちゃった。あの人たちって見ていた飽きないよね」
「ほんとほんと」
三人で顔を見合わせて大笑い。
百くんが本日何本目かのスパークリングを飲み干した。
「オレさ、この前のゼロアリーナでのこけら落としをしてからも、少しだけ不安だったんだ」
「不安……?」
「オレの声が出なくなった時、ユキが想いをぶちまけてくれたでしょ?」
「あぁ……あのとんでもなく恥ずかしいことを言ったあれか……」
「確か『あいつが傍にいてくれたから、僕は音楽を続けていくことが出来たんだ』だっけ?」
「『僕にとって、モモはゼロ以上のシンガーだ』って言ってくれたよね」
「恥ずかしい過去を抉らないでくれ……」
「でもユキのお陰で声が出るようになった。あの時は本当に嬉しかったんだ。でも少しだけ不安が残ったんだ」
百くんはそう言いながら席を立ち、少し離れたところに立った。
「Re:valeがいつかなくなった時、オレは笑顔のままでいられるのかなって」
いくら互いが望んでいるからといっても、いずれ解散の時は来てしまう。
それがまだ随分と先のことでも、そのいつかが来た時のことを考えてしまうと怖かったのかもしれない。