第4章 Happy Birthday 11/11〔百〕
「さっき言ってたお酌のことだけど、今日は特別っていっても管理は徹底するからね」
えっと驚く百くんの声とともに扉を閉める。
(当たり前じゃない。あんまり飲ませて明日に影響しても困るもの)
だけど少しだけこうも思ってしまった。
(たまには甘やかしたいなぁ……)
マネージャー失格発言だと、車を走らせてから後悔するとも知らずに。
スタジオから車を走らせること約十五分。
「ここって、前にオレたちがロケしたところだよね?」
「そうだよ。あの時モモがすごく喜んでたから、貸し切らせてもらったんだ」
「本当に千くんは仕事が早くて……それにしてもよく貸し切りに出来たね」
「そこはアイドルとして腕だよ」
つまり、このバーのマスターは千くんの迫力に負けたということではないだろうか。
「千くんもよくやるね……」
感心と呆れの混じったそんな言葉に千くんは、まぁねと笑った。
扉を開けると中は薄暗かった。
「はい、ここで目隠し」
あらかじめ言われていたことを思い出し、私は慌ててバッグの中からタオルを取り出した。
それで百くんの視界を覆い、その手を握る。
たったそれだけなのに、握っている手に汗をかいてしまいそうだった。
「えっ、なになに!?オレなんかされちゃうの!?」
「モモ、そのまま弥澪の案内にそって歩いて」
ゆっくりと彼の手を引いて歩き出し、部屋の真ん中に立たせると千くんに頷く。
そしてタオルを外す準備をして大きく声をあげた。
「せーのっ!」
タオルを外した途端。