第4章 Happy Birthday 11/11〔百〕
〜当日(11/11)〜
「今日もお仕事おわりー!」
百くんの誕生日当日、彼はいつもどおり元気だった。
というより、番組内で誕生日だからとお祝いされ、いつもより少しだけテンションが高い。
「このあと空きなんだよね?オレ焼肉食べにいきたい!」
「ちょっとまってモモ」
千くんが百くんを引き止める。
私は少し離れたところで、百くんのもらったプレゼントを事務所に運んでもらうように番組スタッフと話をしていた。
「今日は一緒に来てほしいところがあるんだ」
「ユキからのお誘いなんて珍しいじゃん。なに?カラオケでも行くの?」
「今日あれだけ歌ってまだ歌うの?そうじゃなくて、今日は三人だけで飲もうと思って」
「三人って、オレとユキと弥澪?」
「それ以外に誰がいるっていうんだ」
「いやー、綺麗な美女とかにお酒注いでもらってーとか」
「美女なんか呼ばなくても、ここに十分綺麗な人はいるけどね」
そう言った千くんがこちらを振り向いた。
「!?」
それだけで彼が私のことを言っているのだと分かった。
スタッフさんは男の人だから、この部屋にいる女の人は私一人。
だから私以外の誰かであるわけがない。
「あの、千くん?私そんなに綺麗じゃないよ?」
「なに言ってるんだ。君は十分綺麗だよ。モモもそう思うでしょ?」
「当たり前じゃん!オレたちのマネージャーはすっごく魅力的だよ!」
さらっと恥ずかしくなることを言う百くん。
彼のとんでもない言動がいつも私を困らせる。
今日のこれは特に。