第4章 Happy Birthday 11/11〔百〕
街中で必要なものを買い求め、指定のバーへと向かう。
その途中。
「あ……」
ビルの電光掲示板にRe:valeが映っていた。
最近百くんが務めた、彼の大好きな桃とりんごのスパークリングのCM。
満面の笑顔の百くんが画面いっぱいに映し出され、思わず私も笑みがこぼれた。
(百くん、すっごく素敵)
彼のことはとても尊敬している。
いつだって笑顔で周りも一緒に笑顔にしてしまう彼が羨ましくて。
時々あのテンションについていくことが出来ないこともあるけれど、それでも私にとって彼は笑顔の象徴なのだ。
だから私は最近になってようやく気がついた。
(あなたのことが好き)
言葉にすることも想いを伝えることもないけど、秘めた想いは本物だ。
(伝えられたらいいのに)
伝えたいけど伝えない。
私の仕事はRe:valeを支えること。
余計な感情を持ち込みたくはない。
(プレゼント、どうしようかな……)
だから一人の女としてではなく、マネージャーとして、彼のそばにいることを心がけようと思っている。
電光掲示板が切り替わると、荷物を抱えなおして私は歩く足を早めるのだった。