第4章 Happy Birthday 11/11〔百〕
「というわけで皆さん、私たちはケーキを用意しますので、他は任せます。くれぐれも常識からかけ離れたことを企画しないでくださいね。あぁ、私の部屋ですのでくつろいでいても構いませんが、余計なものに触らないでくださいね」
一織くんはそんな言葉を残して三月くんと部屋を出ていってしまった。
百くん好みのケーキを作ってくれるのはありがたいのだけど、まるで逃げられたようで少し困る。
「壮五くん、楽くん、なにかいいアイデアある?」
「そうだな……定番なのはやっぱ一発芸だよな。百さんより二階堂が面白がりそうな企画だが」
「それ千くんに言われた時、私もそう思ったよ。あの人百くん並みに面白がる人だもの」
「やっぱり一発芸は必要かな……」
「そうなるとナギくんと三月さんが適役かな」
「こっちは龍だな。あいつ案外ノリ良いし」
「じゃあその三人に頼もうかな。あ、事前に伝えないでおいてもらえると助かるな。彼らの困った顔も見たいし」
(千くん……それは可哀想じゃ……)
結局千くんのお願いで一発芸はナギくん、三月くん、龍之介さんにお願いすることとなった。
当日それを受け入れてくれるかどうかは別問題として。
「ゲームは取り入れた方がいいですよね。これも定番……かどうかは分かりませんけど、大勢でやるのなら人生ゲームでしょうか。確かに陸くんが持っていたはずです」
壮五くんのアイデアに千くんは頷いた。即決採用らしい。その時私の携帯にメールが届いた。
(百くんだ)
それは間違いなく百くんからのものだった。
昨日千くんからのメールを受けてから大急ぎで百くんのスケジュールを調整し、明日の夕刻からの時間を作り、それを百くんに伝えておいたのだ。