第3章 家族〔陸&天〕
意を決して顔を背けると、天は寄せていた身を引いた。
そして苦笑するように弱々しく答えた。
「そっか……君って案外鈍い人なんだね。きっと陸もボクと同じだと思うんだけど、君は気づいていなかったんだね……」
「それって……」
「弥澪っ!」
さっきの天と同じように、目覚めた陸が息を切らして飛び込んできた。
彼に施された頬の手当てに思わず顔をしかめてしまう。
「天にぃ……?」
私の横にいる天に気づいて、陸は小さくその名を呼んだ。
けれど私の方に視線を戻した彼はぎょっとしたように歩み寄ってくる。
「弥澪!?泣いてるの!?どこか痛い!?」
「陸、あまり大きな声を出さないで。ここは病院なんだよ?」
「でもでも、弥澪が泣いて……」
「私は大丈夫だよ。ねぇ陸、天がね、私たちのところに戻りたいって言ってくれたの」
「ほんとに?天にぃ、オレたちのところ戻ってきてくれるの?」
陸が未だ心配そうな表情をしながらもそう天に尋ねた。
「違うよ、陸。ボクは戻るんじゃなくて戻りたいって言ったの」
「同じだよ!天にぃが帰ってきてくれるって思うだけで、オレはいくらでも頑張れるんだから!」
「……そっか」
天は陸の言葉に苦笑しながら彼の頭を撫でた。