第3章 家族〔陸&天〕
苦笑しながらそう答えると、天は目の前まで詰め寄って来て私の顔に触れた。
そして頭に巻かれた包帯を苦い顔で見つめる。
「天?」
「君っていつも無茶ばかりするよね。ボクと陸がいくら止めてもやめようとしなくて、結局怪我して陸が大泣き」
「……面目無い……」
「本当に悪かったと思っているのなら、そう簡単に謝らないで。反省はきちんと行動で表してもらわないと」
「行動?」
「危険なことをしないでってこと。君がいなくなったら誰が陸の傍にいてあげるの?」
天は私が陸の傍にいることが当たり前のようにそう言うけれど、それなら天が傍にいてあげればいいと、私はそう思っている。
でも天はそんなことこれっぽっちも思っていないんだろう。
「私が無茶するのは陸のためだから……」
「それでも無茶はやめて。ボクが耐えられない」
「うん……ごめん……」
「だからすぐに謝らない」
「ごめ……あっ……」
ついつい謝ってしまい、口を抑えると天は軽く笑った。
「でも、ボクも謝らないといけないよね」
私の手に天の手が重ねられた。
怪我の影響で少し熱が出ているからか、天の手が以前より冷たく感じる。
「君のことを避けていたのは、前に電話で話したよね?」
「私と向き合う勇気がなかった……って」
「理由はそれだけじゃないんだ。覚えてる?前に陸が高熱を出した時、君が背負って病院に行くって言い出した時のこと」
「……覚えてる、覚えてるよ。天が救急車を呼ぶって階段を降りようとして落ちそうになったはず」
「そう、あの時ボクが転落するはずだったのに、気がついたら弥澪と入れ替わっていた。ボクを庇ったんだって分かった時、すごく怖かったんだ。陸も弥澪もいなくなっちゃったらどうしようって」