第3章 家族〔陸&天〕
「あんた、またリクのことを気にかけてんだな。自分が大怪我したっていうのにそっちのけで他人の心配。この間だって自分のことよりもいなくなったリクの心配してたろ?もう少し自分のことも大事にしたらどうだ?」
「……」
私はそれに答えなかった。
「……あんたの気持ち、分からなくもねーけど」
そう言って大和さんは帰っていった。
時刻は午後三時過ぎ。
収録をしていたのは十時ごろだったから、だいぶ気を失っていたらしい。
それでもこれだけの怪我で済んだのは正直安心した。
もし打ち所が悪ければ脳の重要な部分を損傷し、目をさま覚まさなかったかもしれないと言われていたから、今ここで生きているというのがすごく実感できる。
(陸も……いつもこんな感じだったのかな……)
天がいなくなって私が学校に行っている間、陸は一人ベットの中でこんな気持ちで待っていたのだろうか。
きっとそうなのだろう。
誰もいなくなった部屋がこんなに寂しいのは、誰だってきっと耐えられない。
「いたっ……」
怪我をした左頭部がズキズキと痛む。
少し横になろうと思った時だった。
病院内だというのに誰かの走る音が聞こえてきた。
それは私の病室の前で止まり、その扉が勢いよく開かれた。
「……天?」
そこにいたのは息を切らせて立っている天だった。
手にはスマホがキツく握り締められている。
「どうしたの?」
「どうしたのじゃない!二階堂大和から龍に連絡が来たと思ったら、なんで君がこんなことになってるの!?」
「陸を助けようとして……でもこんなことになるなんて思ってもみなかった」