第3章 家族〔陸&天〕
はっきりと『話がしたい』と言わなくてはいけないのに、今まで以上に避けられてしまうかもしれないと思うと、それを言うのがとても怖かった。
『ごめん、見ていない』
「………………そう」
てっきり見てはくれているのだと思った。
そのうえで返事をしていないのなら、返事に困ったとかそんな風に思えたからいい。
けれどメールを見てくれてすらいなかったなんて。
『ボクもすごく悩んだんだ。でもメールを開く勇気がなかったんだ』
悪気があったわけではないはず。
でも期待をして返事を待っていた私にとっては悲しいことだ。
『正直に言うよ。君と真正面から向き合う勇気がボクにはない。だからメールを見なかった。そんなこと無かったことにしたんだ。でも駄目なんだ。楽や龍に色々言われて、ボクの中のもやもやがすごく大きくなっていく。本当に君と分かり合えなくていいのかって、自分で自分を責めてしまうんだ』
「いつも私を避けているのもそうなの?陸とは顔を合わせても平気なのに、私には視線もほとんど合わせてくれないじゃない」
『……』
今度は天が黙り込んでしまった。
そうすると私の中の不安や悲しみが、だんだん怒りへと変わっていくのが分かった。
「ひどい……ひどいよ、天は」
『弥澪?』
「天の馬鹿!」
咄嗟にそう叫び、通話を強制的に切る。
「おいおい、馬鹿って叫んで、話解決してんのか?」
「……私って駄目だなぁ…なんでこんな風になっちゃうんだろう……」