第3章 家族〔陸&天〕
思わずそう呟くと大和さんがこちらをじっと見つめていることに気がついた
「……どうしたんですか?」
「いや、朱凪はリクに対して妙に過保護だなーって。確か幼馴染だっけ?何でそんなにしてまであいつの傍に居ようとするんだ?」
「何で、ですか……」
多分大和さんには私の陸に対する様子が過保護すぎる母親にしか見えないんだろう。
普通に考えれば幼馴染だからとわざわざ傍に居る必要なんてない。
あるとすればそれは―――。
「リクのことが好きなのか?」
「……」
そう、なのかもしれない。
私はいつも陸をひとりぼっちにしたくないと、彼の傍に居ようとする。
いつか天が陸のところに帰ってきてくれれば、私が彼の傍にいる必要なんてなくなる。
たとえそうなったとしても、私は陸の傍にいたいと思ってしまう。
はたから見れば『それは恋だから』と思う。
けれど私は―――。
「……好き、ってわけじゃないんです。自覚がないだけで本当はそうなのかもしれません。でも、陸が大事なのと同時に、天のことも同じぐらい大事なんです」
「リクと九条、両方を『家族』と思ってるってことか?」
「多分そうです」
「多分、ねぇ……」
自分でも本心がよく分からない。
好きになっているわけでもないのに、こんなにも二人のことを大切に思う理由が分からない。
「……」
大和さんは少し考え込むと私の腕を引き路地裏に入り込むと、自分のスマホでアドレスを検索し始めた。
「つ……な……っと、あったあった」
「あの、何を?」
「九条と電話。その方が早いだろ?……あー、十さん?九条いる?なんか朱凪がメールしたんだけど、返事が返ってこないって困ってんですよ。つーわけで変わってもらえません?」