第3章 家族〔陸&天〕
「そうだよ。余計なことを話す必要なんてないから」
きっぱりと言い切る天。
途端、龍之介のスマホがけたたましく鳴り響いた。
楽と天はなにごとだという目でそちらに視線を向ける。
慌ててスマホの通話ボタンを押す龍之介。
「そもそもさ、君たちに迷惑をかけているわけじゃないんだから、ボクの自由にさせてくれてもいいと思うんだけど」
「んなこと言ってると、いずれ本当に大切なもんを失くすぞ?」
「上等。そんなもの跳ね除けてみせるよ」
まったくブレることのない天に龍之介の声がかかった。
「天、大和くんから電話……朱凪さんとのことみたい」
「は?」
差し出されたスマホを天はひどく面倒くさそうな顔で受け取り、楽はそんな天に対して思わず呟いた。
「おもいっきり迷惑かけてるじゃねえか……」
「あ、あの、大和さん」
「んー?」
「その……ここまで手伝っていただかなくても……」
「俺も一応リーダーだし?こういうときぐらい頼ってくれていいんじゃねーの?」
大和さんに事情を話した私は、寮さえもを飛び出して行ってしまった陸を探していた。
心配だからと大和さんも一緒に探してくれていたのだけれど、一体どこに行ってしまったのか、まったく姿が見つからなかった。
陸の行きそうな先を大方探し終えたころ、大和さんに壮五さんから電話がかかってきた。
話によると、陸がぐずりながら帰ってきたのだという。
寮に戻りながら私はほっと息をついた。
「よかった……もしどこかで発作を起こしていたらって思っていたけど……戻ってくれているなら安心した……」