第3章 家族〔陸&天〕
「どうした?今リクがすっごい顔で走っていったけど」
「あ……」
そこにいたのはリーダーの大和さんだった。
陸の去っていった方に視線を向け、彼は首を傾げた。
「ちょっ……何で急に泣いてんだ?」
相手が彼だったからなのかもしれない。
私は思わず泣き出してしまっていた。
「どうしよう……陸を怒らせちゃった……」
わけが分からない大和さんは、座り込んでしまった私の頭をただひたすらに撫で続けてくれたのだった。
スマホの画面に映し出された未読メールの表示。
それをじっと見つめていた天に、様子を見かねた龍之介が声をかけた。
「朱凪さんからのメール、まだ見ていないの?」
「……必要ないよ」
メールを開くことなくそれを削除しようとする天を龍之介が止めに入るものの、彼は一切迷わずに『はい』のボタンを押してしまった。
「ボクの連絡先を勝手に教えるなんて、龍はひどいよね」
「えぇっ……俺は天と朱凪さんのことを思ってしてあげたのに……」
「余計なお世話だよ」
天はさも当たり前のようにそう答える。
削除されたその画面に一度視線をやり、自分のことを眺めていた楽へと冷たい視線を向けた。
楽は頬杖をつきながら呆れたような様子を見せる。
「何?」
「お前、朱凪のこと嫌ってんのか?」
「そんなわけないでしょ。弥澪も陸も、大切な家族だったんだから」
「じゃあ何で避けてんだよ」
「……楽には関係ないでしょ」
「またビジネスパートナーだからとか言うつもりか?」