第3章 家族〔陸&天〕
「路上ライブで陸が発作を起こしたとき、すごく怖かったんだよ!?もしこのまま陸がって思って、不安だったんだよ!?」
これで彼がもし発作でも起こしたら、すべて私の責任だ。
だけどどうでもいいと言われて放っておけるわけもない。
「お願いだから体のことを労わって……また苦しい思いをしてほしくないの……」
「じゃあ教えてよ。弥澪が悩んでいる理由を」
「……天からの返事が返ってこないの。一週間も前に送ったのに……」
「天にぃに!?」
「うん、龍之介さんに教えてもらって連絡してみたんだけど……いつもみたいに避けられているのかな……」
「それをオレには関係ないって言ったの!?
「え」
陸が私の腕を掴んで詰め寄ってきた。
その表情がさっき以上に歪んでいた。
「天にぃのことがオレには関係ないって、本当にそう思ってるの!?」
「それは……」
「天にぃなんだよ!?少しは関係してるじゃん!」
陸のためにとずっと黙っていたのに、それが逆に彼に心配をかける原因となってしまった。
「私は……」
「もういい!」
返す言葉に迷っていると陸がそう叫んだ。
その目には怒りの色が灯り、腕を掴んでいた手に力がこもっている。
「もう知らない!」
まるで幼い子供のようにそう吐き捨てて、陸は部屋を飛び出してしまう。
追いかけるようにして私も部屋を出ると、歩いてきた人影にぶつかりそうになった。
慌てて身をよじるとバランスが崩れ、相手は驚いたように私を支えてくれた。