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アイナナ~当たり前すぎる日常〜

第3章 家族〔陸&天〕




それから陸はセンターとしてアイドルを続けた。
一時期体調のことを考慮してセンターを外れたこともあったけれど、それでも一周年のステージにはセンターに返り咲くことが出来た。


あのステージを天は見ていてくれたのだろうか。
しばらくの間、私の心の中にはいつもそればかりがあった。


事務所間の不仲によってメンバー同士が仲良くすることが難しかったけれど、私は密かに天へと連絡をとろうとした。

天の連絡先をメンバーの龍之介さんから教えてもらい、天宛にメールを送った。
『陸とのことで話がしたい』と。


それから一週間、返事が返ってくることはなかった。




















「弥澪、最近よくスマホ見ているけど、どうかしたの?」



ある日、マッサージをしてあげていると、陸が突然そう尋ねてきた。


彼は私が天にメールを送ったことを知らない。
事あるごとにスマホを引っ張り出しては返事が来ていないか確認していたものだから、陸は気になって仕方がなかったのだと思う。



「メールの返事が中々かえって来なくて……ずっと気になっていただけだよ」



『天への』とは言わなかった。
あまり彼に心配をかけさせたくなかったのと、天のことで余計なストレスを溜めてほしくなかったからだ。


私のことは私自身で解決するべき。
他人に頼ってばかりじゃ何も変わらない。
本当は天への連絡だって一人で解決したかった。

けれど私だけの力ではどうしようもなかったため、止む無く龍之介さんの力を借りた。


結果的には何とかなったものの、私には悔しさだけが残ってしまった。

そもそも龍之介さんから天の連絡先を聞くことが出来たのは偶然だった。

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