第2章 ★愛すべきもの〔大和〕
多分、私を独占したい気持ちが強くあったのかもしれない。
大和のことだから並大抵のことでは気に留めたりせず、よほどのことがない限り、こんなことにはならないのだろう。
「んっ……んんっ」
キスが降ってくる。
その激しさに大和の愛しいという感情がありありと感じられた。
家が隣同士で幼い頃からずっと一緒に育ってきた大切な幼馴染。
小学校の時には毎日一緒に登下校を繰り返した。
中学に入ってからは、関係をからかわれるのがオチだと思ってなるべく別行動を心がけようとした。
けれど大和は自ら私のクラスにやって来ては後を追いかけてくるようになった。
多分そのころからだったと思う。
私が大和を好きだと思うようになったのは。
周りの友人にも大和のことが好きなのかと尋ねられ、そうではないと答えるたびにからかわれ続けた。
時々友人たちが仕組んで、私たちを二人きりにしようというベタな考えを起こしたこともあった。
そのまま気持ちは伝えないまま私たちは高校生となった。
関係は中学の時とほとんど変わらず、周りからの反応も同じだった。
けれど変わった点がひとつだけあった。
大和が女子に告白されるようになったのだ。
いつもお昼を一緒に食べていたから、『放課後呼び出された』とか、『昨日告白された』とか、そんな話はよくしていた。
当たり前だと私は思った。
誰だってこれぐらいの年になれば恋愛のひとつやふたつ、するものだろう。
私自身、大和に告白をする勇気がなかったから、告白されたことを言われても逆にからかうことしか出来なかった。
一度だけ『誰かと付き合えばいいのに』の言ったことがあった。
その時大和は『そうだな』とだけ答えた。
けれどその言葉通り、彼が誰かと付き合うことはなかった。
正直私はホッとしていた。
もし大和が誰かと付き合ってしまったら、彼とは今までどおりに仲良くすることが出来なかったから。