第2章 ★愛すべきもの〔大和〕
ようやく手首の手錠が外された。
そして未だに元気なそれが視界に入ると、なんだか恥ずかしさより悔しさの方が勝ってきた。
「……待った待った、なに手で掴んでんの?」
不意をついて大和のそれを手に取ると、彼は顔をひくつかせた。
「今度は私がやるから」
「は……?」
驚きに目を見開く大和に対して、私は構わずそれを口に含む。
「ん……っは、んむ……」
「おい、やめろって……」
根元まで咥え込むと流石に苦しい。それを我慢して出来る限り全体的に快感を与えようとする。
「なんかあんた……手慣れてないか?」
そんなわけない。
今までなんどもしてきた私たちだけど、私が彼に奉仕などほとんどしたことがない。
何度か触ってあげたり舐めてあげたりしたことはあるけれど、大体は大和にやり返されてしまうため、結局はなにも出来ていない。
そもそも大和以外に彼氏が出来たことすらない。
だから頑張ってみようと自ら学ぼうとはした。
勉強のためとはいえ、あんなビデオを見るのにはだいぶ勇気がいることだったけれども。
「んんッ……はっ……ん……」
「……っ」
シーツを掴んで必死に耐えようとする大和を見ると、どうしても負かしてやりたい気持ちに駆られる。
舌を上手く使って舐め回し、手でも同時に奉仕する。
「気持ちいい?我慢しなくていいんだよ?……きゃっ!」
突然頭を抑え付けて引き離されたかと思うと、大和は荒い息を吐きながら私にはシーツを被せた。
慌てて顔を出すと彼は顔を口元を隠しながら顔を逸らしていた。
「これ以上は駄目だ。耐えられなくなる」
「私にはあれだけしといて今更そんなこと言うの?何?罪悪感でもあるの?」
「ちげーよ。今出したらまたあんたを襲っちまいそうなんだよ」
「……そんなこと?」
大和が拒むほどだからてっきり罪悪感でも持っているのかと思いきや、まっくもってそうではなかった。