第2章 ★愛すべきもの〔大和〕
慌てて引っ張ってみるものの、作り物とは思えないぐらいにしっかりしている。
「じゃなくて、なんでこれを私にするの?」
「……まだ分かんない?」
「うん」
「じゃ、分かるようにしてやるよ」
そう言うと大和は私を抱きかかえてベット腰掛ける。
そして手で顔を固定すると身動きの取れない私にキスをした。
「ん……んく……ッ……」
深い深いキス。
息継ぎする間もなく角度を変えて何度もなんども繰り返す。
唇が離れた頃にはすっかり力が抜けてしまっていた。
「はっ……はっ……」
「弥澪、すっげー色っぽい」
「誰の、せいだと……」
「んじゃ、次いきますか」
私の言葉を待たずして大和は私をベッドの上に転がし、手錠をそれぞれベッドの隅にかけた。
そしてあと二つ手錠を取り出したかと思うと、それを今度は足首とベッドに繋いだ。
あっという間に私はベッドに磔にされてしまった。
「いやっ……外して……」
「『ドラマの中の大和はかっこいい』って言ったのはどこの誰だ?」
「確かに言ったけど!あれは……」
「じゃあどういうこと?」
「そんなの大和自身がかっこいいってだけで……というかその言葉がどうしたらこうなるの!?」
大和はベッドの脇にしゃがみ込むと私にの耳元に口を寄せた。
「俺が演じてるのはアイナナ警察の警官。んでそれに対してあんたはかっこいいって言った」
「……だから?」
「苦しみたいのかなーって」
「断じて違う!!」
なんで私が苦しみたがるのか、訳が分からない。
というかそれじゃあ私がドMってことにならないだろうか。
「ま、冗談はさておき」
「また冗談なの!?」
「俺がすこーしあんたに悪戯したいなって思ったわけ」
「なに……それ……」
「それにお前、『裏に回った役も結構好み』って言っただろ?」
「それは……」
途端、大和が私の右耳に噛み付いた。決して甘噛みではなく、本気で。
「いっ……あっ!」
思わず顔を傾けてしまい、大和の歯によって耳たぶが切れてしまった。
それを見た大和は薄笑いを浮かべると滲み出た血を舌で舐めとる。