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アイナナ~当たり前すぎる日常〜

第2章 ★愛すべきもの〔大和〕




二人が同時に帰宅し、迎えに出てきてくれるのが一体何人かという賭けをしているらしいのだが。



「俺は一人だな。リクは多分出てくる。タマは面倒がるだろうし、イチは必要ないと思ってるだろうから出てくるわけがない。ナギは微妙だけど今はアニメを見てる時間だしな」

「おっさんの解釈に納得しすぎて自分の答えに自信なくしたんだよな」

「三月さんは元々何人だと?」

「二人。大和さんと同じで陸は出てくるって思う。あとは一織。なんたってお兄ちゃんのお帰りなんだから」

「なるほど、それもそうですね」



普通に考えて陸くんが出てくるのはほぼ確実だし、環くんは絶対に出てこない。
一織くんとナギくんが曖昧なところだけれど、二人の見解はほぼ正しいだろう。



「私は二人だと思いますよ。でも三月さんとは違って、陸くんと環くんで」

「タマの奴が出てくるわけねーだろ」

「だよなー」

「試してみます?」



私はそう言うとバッグの中に手を差し入れながら玄関を開けた。
後ろから大和と三月さんが中を覗き見る。

私は一呼吸おいたあと、



「お邪魔しまーす!!今日は差し入れを持ってきましたよー!」



大声でそう言った。

すると少しの間の後、二つの扉が開いた。一つは派手に、もう一つは比較的控えめに。



「王様プリン!?」

「弥澪さん、いらっしゃい!それから大和さんと三月、お帰りなさい!」



出てきたのは環くんと陸くん。

予想通りの反応だった。
環くんは目を輝かせてすっ飛んでくるし、陸くんは嬉しそうに駆けてくる。



「……当たったでしょう?」



振り返って二人にそう問いかけると、大和が腹を抱えて笑いだした。



「何がおかしいんですか」

「だって物で釣ってタマを引っ張り出すとか弥澪らしいっつーか」

「馬鹿にしてるんですか?」

「その行動を褒めてんの。分かんない?」

「分かるわけありません」

「それがおっさんの精一杯か。悲しいもんだな」

「ミツの精一杯も悲しいよな」

「身長に精一杯言うなっ」



また大和さんが揶揄いはじめた。

すると出てきた環くんが私の取り出したスーパーの袋を受け取りながら言った。

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