第2章 ★愛すべきもの〔大和〕
壮五くんを降ろした後、環くんが満面の笑顔で校舎から出てくるのが見えたのだ。
それに対して壮五くんも笑顔だった。
二人で歩く姿は周りから見ても目立つ。
いや、それ以上に正直な話、恋人同士のような仲良しっぷりにしか見えない。
(あれで内輪揉めが起こるような仲には、そうそう見えないんだけど)
どうにもあの二人は相性が合わない。
人気があったからと、先にデビューしたのは構わない。しかさそれが仇となっているのが少々困りものだ。
(ナギくんはイベントが収録日と重なると面倒だし……)
以前、突然入った仕事にナギくんはアニメイベント断念を余儀なくされた。
元々目立つ彼を簡単に大勢の中に放り入れるのもマズイので、こちらからストップをかけるつもりではいたのだけれど。
ともかくその結果、収録直前まで彼のがっかりオーラが収まらなかった。
収録自体はアイドル根性でなんとか乗りきったうえ、万理さんに頼んでイベントグッズを買ってきてもらったにも関わらず、その日一日中、テンションはただ下がりだった。
(中でも大和のやり方が一番疲れる……)
最近大和は私をからかうことが多い。
幼馴染だからちょっかいを出したいのか、単にちょっかいを出して面白がりたいのか、彼氏として自分を意識していてほしいのか、そこはよく分からない。
とにもかくにも、毎日のように甘えられたり、弄られたり、お節介をやかされたりしていると、体力をフル活動しなくてはならないので夜までもたない。
そしてそんなボロボロの状態で寮へ行けば今度は余すことなく愛でられる。
仕事がまだ残っているから離してほしいと言えば余計に離してくれなくなるし、少しでも気を抜こうものならあっという間にベッドにゴールイン。
とにかく厄介。酒を飲んでも飲まなくても厄介。