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天使祝詞【ドリフターズ】

第3章 魔法のコトバ




お屋敷の前には葡萄畑が広がっていて、そこでの仕事も少しづつ教えてもらった。

今は丁度葡萄の花が咲いたところで、余分な実を間引いたり、葉を食べる虫を取ったり、草刈りをしたり色々忙しい季節のようだ。

秋には実った葡萄を収穫して皆で"わいん"というお酒を造るらしい。収穫の話をする伯爵は心なしか楽しそうに見えたので、私も秋が楽しみになった。

今日の分の草刈りを終えると用具を片して来るよう言われたので、庭の隅にある納屋に向かう。最初は見えなかったけれど、埃っぽい納屋にはびっしりと蜘蛛の巣がはられていて、それ気付いた瞬間、私は悲鳴を上げて飛び出した。

虫はそんなに好きじゃない。

げんなりしつつ服についた埃や蜘蛛の巣を払っていると、少し離れた小川の向こうに花が咲いているのを見つけた。菜の花みたいに眩しい黄色をした花だ。

近づいてみるとその黄色の花は小さいながらもまるい花びらに光沢があって、そのつやつやと光る姿がなんだか伯爵の金色の髪に似ている気がした。

私はその花をいくつか摘むと屋根裏でこの前見つけた綺麗な空き瓶に生けて、伯爵の部屋に飾っておいた。

伯爵がどんな反応を見せてくれるのか考えるだけで頬がだらしなくにやけてしまう。


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