第3章 魔法のコトバ
意味も無く伯爵の後ろをついて回って、伯爵が自室に戻るのを待った。
「気持ち悪い子」なんて貶されても今日は全然気にならない。
そしてようやく待ち望んだ瞬間が訪れる。
部屋に入ってすぐの窓際の机、伯爵は直ぐに私の生けた花に気付いた。
「……薬草園には近づくなって、私言ったわよね」
発せられた言葉は思い描いた物とはかけ離れていた。
「…えっ、」
伯爵は、怒っていた。
「二度と勝手な真似しないで」
何故?
ただ褒められたかっただけなのに。
まるで雷に打たれた様な衝撃だった。
私はろくに返事もせず、部屋から飛び出した。