第1章 Hello,world!
「じゃあ質問を変えるわ。アンタどこでどうやっておっ死んだのよ?」
身も蓋も無い問に、思い出すのは火薬と血の臭い、耳をつんざく子供の叫び声。
私の立った初めての戦場。
「……原城で…三月(みつき)に渡る籠城の末、攻め入った幕府軍から天草殿を逃がす為、私は影として…」
「シマバラウォー!…って今アンタ、影って…」
「はい、背丈が似ていたので城を敵に囲われた時、天草殿の代わりに城に残りました…思い当たるのはそれだけで…」
主君が無事逃げおおせれたとしたら、それは影にとって武勲となるのだろうか。
所詮急ごしらえの影。町人の娘に武勲など必要無いといったらそれもそうだが。
暫しの無言の後、叫び声が響いた。
「紫ィ!どうなってんじゃあクラァ!!」
紫…?怪物女は頭を掻き毟りながら怒声を上げるが、私に対して怒ってる訳では無いみたいだった。